1984年10月26日 掲載 低迷する清酒市況に勝てぬ 北興酒造も醸造休止 “銘醸地名寄”も語り草に
名寄市内に残された唯一の醸造工場として1955年以来、清酒“若泉”の生産活動を続けてきた北興酒造株式会社が、全国的に低迷を続ける清酒市況の影響を受けて、84酒造年度(84年7月~85年6月)の醸造を休止した。
(記者からの一言)
名寄市内では良質な地下水に恵まれたことから、かつては酒蔵がいくつかあり、戦後は北興酒造の他に名取酒造、日本清酒名寄支店があった。しかし、70年代前半からビールや洋酒類の攻勢や嗜好の変化により、清酒の消費量は長期的に低落した。日本清酒名寄支店は75年に醸造部門を廃止し、卸・販売店となった。名取酒造も77年に醸造部門を閉鎖し、小樽市内の酒造業者に醸造を依頼、名寄では調整、瓶詰めを行うだけとなった。北興酒造は73年に日本清酒の子会社となり、原酒の8割を日本清酒札幌工場に納入し、残り2割を“若泉”の地酒販売に充てていた。その後も清酒市況は低迷し、84年に北興酒造も醸造をやめ、名寄から酒造りの火が消えた。86年には名取酒造が酒造免許を返上し、酒蔵が消えた。
名寄新聞1984年10月26日付 掲載 Web掲載日2022年10月27日
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