稚内市担い手育成総合支援協議会が酪農実習受入れ 台湾の大学生・荒木さんが挑戦 1か月間住み込みで1次産業の現状知る
台湾の国立中興大学3年、荒木円奈さん(21)が7月、稚内市更喜苫内の牧場で酪農実習。稚内市担い手育成総合支援協議会の募集を通じて体験し、今年度初の実習生。大学で畜産学を学び、夏休みを利用してファームステイ。実習を終えた荒木さんは「牛をお世話する楽しさと、毎日搾乳などで体調管理する酪農家の大変さも感じた。牛について色々なことを学び、とても良い経験になった」と振り返った。
大阪府出身。自宅でデグーやセキセイインコなどを飼い、幼い頃から動物好き。「日本を出て異なる文化や環境の中で過ごし、自分自身を変えたい」と台湾の大学に進学し、動物科学科を専攻。高校3年の夏から入学前まで予備校で中国語の勉強に励んだ。
3年になった昨年9月から、大学内で牛や豚、ニワトリ、ウズラを飼育。夏休み期間に1か月以上の動物科学科に関係する実習を行うことが必修科目で飼育を通じ「牛が一番可愛く、搾乳も楽しかった」と、帰省を兼ねて日本での実習を希望。インターネットで北海道での実習先を探し「住み込みが出来て最北端にも行ってみたい」と稚内を選んだ。
実習では、生後3~13か月の育成牛の給餌や掃除、搾乳を行ったほか、別の牧場で搾乳ロボットの見学、チーズ作りなども体験。早朝から夜まで牛と向き合う大変さを肌で感じ「仕事を色々と任せてもらい、体で覚えることができた。酪農家さんとの会話も楽しくて頑張れました」と。
来年6月に卒業予定で進路はまだ決まっていないが、日本での就職を考えており「動物に関する仕事に就きたい」と。稚内に来るのは初で、実習前には宗谷岬などを観光。「台湾に比べると夏は涼しい。冬に行くのは風が強そうで怖いが、また来たいです」と笑顔。
担い手育成総合支援協議会(事務局・稚内市)は、稚内の酪農の知名度向上へ取り組みを強化し、酪農体験に申し込みやすいよう昨年度に新たに応募フォームを作成。荒木さんが最初の利用となった。実習生はコロナ禍の影響で2020年と22年はゼロ、21年は1人のみ受け入れ。今年5月に酪農イベントで関東圏の大学を訪問し、PRの成果で現時点で22人(7月31日現在)が実習を予定し、将来的に稚内の酪農従事者が増えることに期待を寄せる。
(千葉大輝)
Web掲載日2023年8月7日
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