助産師受験資格取得が可能に 名寄市立大学 文科省の助産師課程認可受ける 妊娠・出産でスペシャリスト養成へ
【名寄市】
名寄市立大学（野村陽子学長）は、文部科学省から助産師課程設置の認可を受けた。在学中の助産師国家試験受験資格取得が可能になるもので、野村学長は「助産師の養成によって社会により貢献できると考えている。また、将来を見据えた大学づくりへの大きな一歩になる」と話す。
同大学による看護学科助産師課程の設置は、看護学科と社会保育学科で「育児」や「健康」に深く関わるスペシャリストを養成しているため、同課程を設置して新たに「妊娠」と「出産」の分野もサポートして、道北地域を中心とした安心して生み育てやすい体制構築が大きな狙いだ。
さらに、助産師を目指す複数の看護学科生が、大学卒業後、他大学の専攻課程などに進んでいるため、学生のニーズがあることも設置の背景にある。
同大学では、2年前からワーキンググループを立ち上げ、設置に向けた検討をスタート。実習病院の確保が大きなハードルとなっていたが、名寄市立総合病院と市立稚内病院から実習学生受け入れの承諾を得たことで一気に前進し、今年7月に文科省へ設置申請を行い、10月31日付で認可された。
これに伴い、在学中の4年間で看護師と助産師の国家試験受験資格取得が可能に。卒業後に、他大学の助産師専攻課程などに進むための受験勉強負担がなくなることは、助産師を目指す学生にとっては大きなメリットとなる。
助産師課程を履修できるのは来年度からの看護学科入学生が対象で、定員は最大4人。2学年後期（2月）に選抜試験を行い、試験をクリアした学生が３年次から助産学の科目を履修できる。
定員数の設定については、実習基準が「1人10回の分娩（ぶんべん）立ち合い症例（普通分娩に限る）」となっており、病院での受け入れ人数に限界があるため、両病院2人ずつとして最大4人までとした。
文科省から認可通知が届いたことを受け、野村学長は「実習病院の確保は欠かせないもので、協力いただいた両病院に感謝している」とした上で、「助産師の役割は育児支援などにも広がっており、社会的ニーズが高い。大学として助産師養成教育に踏み出すことは社会に貢献できると考えている」。
また、助産師を養成できるようになることで、出産、産後ケア、育児を連動させた教育に取り組める魅力ある大学づくりに向け、「大学のホームページなどで魅力の一つとして発信していく」と話す。
大学4年間の学士課程の中で助産師の受験資格が取得できるのは、道内では旭川医科大学と名寄市立大学のみ。これを魅力、強みとして、少子化の進行だけではなく、学科構成が類似しており、来年度から公立化する旭川大学との競合を踏まえ、学生確保にもつなげていく考えだ。
名寄新聞2022年11月10日付掲載 Web掲載日2022年11月14日
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