下川でエゾカップ、新旧合作で見応えアップ、巨大化生物の世界を表現
【下川】
有志の実行委員会(木霊光実行委員長)主催の国内最高峰、道内唯一のチェーンソーアート大会として11回目を迎えた「EZOCUP」(エゾカップ)が、6日から4日間、桜ヶ丘公園フレペ広場などで開かれた。前年同様、森に住む小さな生き物を巨大化させたチェーンソーアートを制作。前年の作品と組み合わせ、同公園に配置して「ダウンサイズの世界」を演出している。
チェーンソーアートは、チェーンソーを使って丸太から彫刻作品を作り上げる芸術。来場者にもっとチェーンソーアートの世界を楽しんでもらおうと、昨年から同時開催のイベント「森ジャム」と連携を強めつつ、森をインスタレーション(展示空間を含めて作品とみなす手法)で表現していく形に変えた。
昨年に引き続き、生き物を巨大化させた作品を配置することで、来場者の身体が小さくなった錯覚を起こす「ダウンサイズ」の世界を目指した。
出場者は佐藤優則さん(宮城県)、栗田宏武さん(千葉県)、太田和徳さん(岐阜県)の3人。大きな丸太(長さ3.65m、直径0.5m程度)や板材を使い、チェーンソーのエンジン音を響かせながら複数の作品を彫り着色も施した。
昨年の作品を修復しながら作り直すとともに、ひらめきを基にアイデアを出し合い、新たな作品を加えた。
昨年の読書などを楽しむおとぎ話のような動物たちには、おとぎ話のような家が造られ、ドアも開閉可能。前年のカタツムリには荷車が付けられ、前年のフンコロガシなどがその後部を押している。前年のビールを飲むクワガタとカマキリには、たき火で焼いている骨付き肉を追加。トンボ、サナギなど前年になかった作品も次々と加えた。さまざまな作品が彫られ、見応えある世界を創り上げた。同公園フレペ広場に配置され、今後も見ることができる。
一つの作品を30分で彫るクイックカービングも実施。8日には森ジャム会場の「美桑が丘」で3回、9日も桜ヶ丘公園で1回行い、来場者に作品をプレゼントした。
8、9日には下川町森林組合による林業機械のハーベスタ、フォワーダの試乗体験、旭川市内の道立林業大学校「北の森づくり専門学院」(2年生30人程度)と上川北部森林管理署(下川)による木工ワークショップなどが行われた。
閉会式では、出場者同士の投票で「功労賞」を決定。栗田さん(69)が受賞し、木霊実行委員長から賞金10万円と次回の招待枠を与えられた。
栗田さんは「エゾカップの参加は4回目。昨年から競技ではなく、他のメンバーとで協力し、アイデアを出し合って作る形に変わった。事前準備のないひらめきの制作となり、大変だけど楽しい。昨年の作品も修復して生かし、持続させる大会は他にない。手入れして生き返った作品も新たな作品と共に見てほしい」と話す。
太田さんは田村泰司町長から町長賞、佐藤さんは阿部勇夫下川町森林組合長から森林組合長賞を受けた。
木霊実行委員長は「昨年と今年の合作は見事で、さすが国内トップアーティストたち。皆さんのアイデア、技術で素晴らしい空間が演出できた。多くの人に林業のまち・下川の大会ならではの作品を見ていただきたい。今後も思う存分、腕を振るっていただける、楽しい大会にしたい」と挨拶した。
名寄新聞2023年7月11日 掲載 Web掲載日2023年7月15日
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