花嫁迎えに行き、乗せず帰る馬
今回は2018年に、下川町班渓、武藤寅二さん(当時91歳)、ミヱさん(当時87歳)夫婦にお聞きした馬との思い出を紹介したい。ミヱさんのご冥福をお祈りいたします。 昭和20年代、嫁入りは馬車や馬そりで、嫁ぎ先へ行った時代。寅二さんはその馬方(うまかた=馬で貨客運搬する職業)を頼まれることが多かった。
「当時は道がでこぼこで良くなかった。そりや馬車がひっくり返ることもあった。荷台が揺れるうちに、花嫁のかんざしがどこかへ落ち、探し回ったこともあった」と苦労も絶えなかった様子だ。
大変な仕事だが、楽しみもあった。馬で花嫁を家まで迎えに行き、花婿の家まで送るとき、両方でごちそうをいただいた。そんな中、ハプニングも起きた。
「嫁さんの家で、ごちそうをいただきながら待っていたときのこと。嫁さんも出発前に家族への挨拶を終え『さぁ、馬を出してくれ』と声が掛かったが、乗ってきた馬がいない。私を置いて帰ってしまった」と言う。
寅二さんとミヱさんは昭和27年に結婚。ミヱさんも馬そりで嫁入りした。翌年に分家し、本家から馬1頭を譲り受けた。夏は農業、冬は造材。運搬に年中、馬が活躍した。
造材で行き来する積雪の山は危険と隣り合わせ。
馬そりを引く寅二さんの目の前で、前方にいた馬と人が雪崩に巻き込まれたこともあった。周りにいた人たちで雪から掘り出し、馬と人の命は助かった。
同49年にトラクターを購入し、馬を手放した。
<今回は名寄新聞の2018年3月5日付掲載記事を基に再構成しました>
馬に関する思い出を募集します。ちょっとした出来事でも歓迎します。氏名、住所、年齢、連絡先、馬との思い出などをご記入の上、メール(komine@nayoro-np.com)でお寄せください。読者の皆さんと馬の魅力を振り返ることができたら幸いです。
(筆者・下川支局の小峰が馬を飼う理由、この連載の趣旨についてはこちら)
https://dohoku.net/09e42b5952b546bcb07c6a48bda01c7b
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