軌跡を多くの資料や写真で 名寄市北国博物館で8月29日まで 特別展「名寄の鉄道120年記念展」
【名寄】
名寄市北国博物館の第48回特別展「名寄の鉄道120年記念展」が、8月29日まで同館ギャラリーホール・ラウンジで開かれている。「鉄道のまち」名寄の軌跡を数多くの資料や写真などで解説しており、見どころは満載。鉄道ファンも多く訪れている。
1903年(明治36年)9月3日、北海道官設鉄道天塩線(現・JR宗谷本線)の士別~名寄間が開業。特別展では、名寄の鉄道の歴史120年を振り返りながら、鉄道の現状と未来を考える機会として企画した。
会場では、名寄の鉄道全般をはじめ、路線別に宗谷本線(旭川~稚内間)、名寄本線(名寄~遠軽間、1989年5月1日廃止)、深名線(深川~名寄間、95年9月4日廃止)、既に廃止された「思い出の駅舎」、名寄駅とその周辺、SL排雪列車「キマロキ」、鉄道の現状について、写真やパネルで解説。
各路線の歴史や駅名一覧をはじめ、鉄道工事ではタコ部屋労働もあったことなど、開拓推進の裏側で過酷な労働環境があったことに触れている。
「思い出の駅舎」では、近隣の廃止駅を紹介するとともに、名寄市内の廃止駅の駅舎模型を展示。智東駅(2006年3月18日廃駅)などの看板も見ることができる。
名寄駅と周辺では、初代と1927年(昭和2年)完成の2代目名寄駅舎の変遷と模型を展示。2代目駅舎は数回の改修を経ており、49年の増改築、88年の減築、99年と2018年の改修について説明している。
駅周辺では、多彩なアイデアで駅弁を販売し、全国的にも知られた角舘商会(2009年6月廃業)、長年親しまれている駅前食堂の三星食堂、駅前旅館の冨士屋旅館(現・ニュー冨士屋ホテル)を解説。
「キマロキ」では、マックレー車とロータリー車は当初、解体処分が予定されていたところ、名寄市で名寄駅の入換線を延長して仮設の置き場を設け、キマロキ編成の4両を保存し、マックレー車とロータリー車の解体を免れたことなどについて触れている。
鉄道の現状では、名寄~稚内間が「JR単独では維持困難な線区」に位置付けられていることや、宗谷本線の郊外にある無人駅の大半が廃止検討されていることなどを解説。利用客減少など鉄道を取り巻く厳しい環境を訴えている。
その他、名寄市砺波で「創作キッチンたまさぶろう」を経営する志々見敦さんの協力で鉄道模型のNゲージを展示して走行。名寄市立大学社会保育学科教授の堀川真さんがイラストを手掛けた「私の名前は宗谷本線」の絵本原画、博物館所蔵のSL写真なども見ることができる。
また、関連企画として、講演会「名寄の鉄道よもやま話・鉄道映画上映会」は8月20日午後1時から同館講堂で開催。第1部はキマロキ保存会員による講話、第2部は名寄に関係する鉄道映画を上映する。参加費無料。定員40人。申し込みは不要となっている。
特別展の観覧は無料。開館時間は午前9時から午後5時まで(入館は午後4時半まで)。休館日は毎週月曜日。
名寄新聞2023年7月11日 掲載 Web掲載日2023年8月7日
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