美幸線の第3セクター化について取り上げたが、補足となる資料も入手したため、番外編として掲載したい。
鉄道雑誌「鉄道ジャーナル」1984年5月号の連載「特定地方交通線の実態と問題を現地に見る32」で、国鉄北海道総局の資料として、美幸線の経営概要の実績を掲載した。
損益、営業係数(100円の営業収入を得るために必要な営業費用の割合)、輸送密度(1km当たりの1日平均輸送人員)などを下表に示した。
美幸線の営業実績(1977年~83年)損益や営業係数、輸送密度は年々、悪化の傾向をたどっていたことがうかがえる。
なお、仁宇布駅の82年度の1日当たり平均旅客収入は9686円だったが、鉄道ファンが買い求める入場券や短距離の乗車券の売り上げが大半を占めた。
美幸線の営業係数は、部分開業の64年度は半年間ほどの営業運行だったため、1109(赤字額1250万円)だった。65年度は834(赤字額3067万円)、66年度は869(赤字額4043万円)だったが、69年度は1213(赤字額4044万円)と初めて4桁となり、72年度には3270(赤字額7176万円)と初めて全国ワースト1位となった。73年度は2883(赤字額8033万円)で2位だったが、74年度は3859(赤字額9875万円)、75年度には3233(赤字額8737万円)と連続1位。76年度は2608(赤字額9310万円)で4位だった。
その後、1位となったのは77年度の2811、83年度の4780、84年度の4731(赤字額1億7900万円)で、全国ワースト1位は6回を数えた。廃止の85年度は908(赤字額9100万円)。
輸送密度は、開業翌年の65年度に174人/日で、もともと少なかったが、69年度に107人/日、70年度に97人/日、72年度に105人/日、74年度に90人/日、75年度に85人/日と年々減少し、84年度は24人/日と開業以来最低。85年度は129人/日だったが、廃止を前に「名残乗車」のため、大勢の鉄道ファンが足を運んだことが要因として挙げられる。
道が3セク転換可能性調査として、計量計画研究所に委託した「地方交通線対策調査報告書」によると、沿線人口が横ばいで推移した場合、中古気動車2両保有、1両ワンマンで1日5往復運行、運賃は現行(84年度)比1.5倍で85年度に開業した後、全線開業の87年度に新車気動車1両追加、1日7往復に増便すると、収入1億3100万円、経費4億2100万円、損益2億9千万円の赤字、営業係数321、輸送密度207人/日。
2000年度は収入3億3300万円、経費6億8300万円、損益3億5千万円の赤字、営業係数205、輸送密度230人/日と予想。運賃は開業以降2年ごとに15%増と推計したが、実績とは大きな差がある。
沿線人口が伸びたとしても、2000年度の損益は3億2千万円の赤字を計上し、輸送密度は249人/日にとどまるとした。転換交付金の積み立てによる基金の利息や国庫補助を受けても、要補てん額累計(累積赤字)は2000年度に37億円と推計した。
なお、初期投資として、気動車購入に1億4千万円、保線用モーターカー購入に1億500万円、検修用機械設備導入に1億1700万円、乗務員の宿舎整備に8800万円、開業準備金に9600万円、定期券補助に100万円などを要した。
一方、美幸線敷設促進期成会が東日交通コンサルタントに委託した3セク化調査の結果では、沿線人口が増加し続けるとともに(2000年人口は1980年比1.3倍)、除雪費負担は無いという最高の条件で、中古気動車3両保有、1両ワンマンで1日7往復運行、運賃は現行比2倍で85年度に開業すると、全線開業の87年度は1億5千万円の赤字(収入2億1千万円)だが、95年度には9千万円の黒字(収入5億4千万円)と予想。運賃は開業以降2年ごとに20%増と推計した。輸送密度は85年度に264人/日、2000年度には418人/日と見込んだ。
特定地方交通線対策協議会のメンバーから見通しの甘さを指摘され、同期成会は修正案を示したが、中古気動車3両保有、1両ワンマンで1日7往復運行、運賃は現行比1.5倍で85年度に開業すると、全線開業の87年度に1億2600万円の赤字、92年度に6600万円の赤字だが、97年度には3100万円の黒字に転換すると予想。運賃は開業以降2年ごとに15%増と推計したが、それでも実績とは大きくかけ離れ、実現が疑わしい数値が出ていた。
3セク会社の財源は転換交付金(開業区間1km当たり3千万円)、新線補助金(未開業区間1km当たり1千万円)、国庫補助(転換後5年間の赤字は3セク鉄道転換で半額補助、バス転換では全額補助)、資本金(道1億円、転換交付金の一部5千万円、美深・歌登・枝幸の沿線3町で各1千万円、民間2千万円の合計2億円)を充当するとした。
単純計算で、開業区間(美深~仁宇布間)21.2kmで6億3600万円、未開業区間(仁宇布~北見枝幸間)57.6kmで5億7600万円の合計12億1200万円となるが、転換交付金や新線補助金の一部を基金化した利息や国庫補助を得たとしても、数年で食いつぶしてしまうことになったと思われる。
地元では3セク運営に自信を持っていたが、道は調査結果から困難な運営となることを示唆していた。現実には沿線人口が減少し続けており、3セクによって開業していたとしても、いずれ廃止となっただろう。
(続く)
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