坂本龍一さんも現地を視察 下川町有林 下川など4町と協定 more treesが森づくり
下川町など4町からなる森林バイオマス吸収量活用推進協議会(会長・安斎保下川町長)と森林づくり協定を結ぶことになった有限責任中間法人(現在は一般社団法人)more trees(モアトゥリーズ、東京都)の坂本龍一代表らが、2009年(平成21年)4月20日に現地視察のため、町内渓和地区の町有林を訪れた。
協定は、more treesと下川町、足寄町、滝上町、美幌町と、森林バイオマス吸収量活用推進協議会の6者で実施。本年度は、more treesが渓和地区の下川町有林の枝打ち、間伐など森林づくりに掛かる費用を支援。その代わり支援した森林の二酸化炭素(CO2)吸収量を町から譲ってもらい、同社のカーボンオフセット(排出したCO2を他の場所で吸収し実質ゼロにする取引)サービスなどで活用する。
坂本龍一さんは、作曲家や音楽プロデューサーなど世界で活躍した音楽家だったが、2023年(令和5年)3月28日、71歳で逝去した。
坂本さんは1952年(昭和27年)1月17日、東京都中野区生まれ。幼い頃から音楽に触れ、東京芸術大学在学中からミュージシャンとして活動した。
78年(昭和53年)に細野晴臣さん、高橋幸宏さん(2023年1月11日、70歳で逝去)とYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)を結成。シンセサイザーを駆使する斬新さで話題となり「テクノポリス」「ライディーン」「君に、胸キュン。」などを発表した。83年(昭和58年)に解散したが、93年(平成5年)に短期間ながら再結成。2007年(平成19年)に再々結成し、楽曲発表やコンサートを行ってきた。
YMO解散後は音楽プロデューサーとして活動。大島渚さん(2013年1月15日、80歳で逝去)監督の映画「戦場のメリークリスマス」に俳優として出演しながら映画音楽を手掛け、日本人初の英国アカデミー賞作曲賞。映画「ラストエンペラー」では日本人初のアカデミー作曲賞を受賞。さまざまな音楽分野で手掛けるなど、世界で活躍した。
国内でも女優の中谷美紀さんらに楽曲を提供。元妻はシンガーソングライターの矢野顕子さん、娘は坂本美雨さんという音楽一家だった。
近年は環境や平和を守る運動に参加していた。「音楽家は音楽だけやっていろ―とネットで言われていることも知っています。でも音楽だけやればいいとも思わない。普通の人が口出すのが民主主義。職業に関係なく誰もが声を出せる社会でないとダメだと思う」と語っていた。亡くなる直前には、明治神宮外苑の樹木伐採の中止を求めて、東京都の小池百合子知事などに「木々は差別なく万人に恩恵をもたらすが、開発は一部の既得権者と富裕層だけに恩恵をもたらす」などとつづった手紙を送っていた。
2014年(平成26年)7月に中咽頭がん、21年(令和3年)1月には直腸がんを公表。がんは肺にも転移し、2022年(令和4年)12月の配信コンサートでは「ライブでやり切る体力がない。演奏を見ていただくのは最後になるかもしれない」と語っていた。生前は「芸術は長く、人生は短し」の一節を好んでいた。
北海道との縁もあり、14年(平成26年)に初めて開催された札幌国際芸術祭ではゲストディレクター(総合芸術監督)を務めた。
09年(平成21年)4月20日には下川町渓和地区の町有林を訪れ、アカエゾマツの枝切りを体験した。「森林は温暖化の原因(CO2)を吸収してくれるが、世界各地で減っており、このままではなくなってしまう。いろいろな協力を得ながら、健康な森林を育てていくことに投資できる仕組みをつくっていきたい」と語るとともに、自ら代表を務めていた一般社団法人more treesと下川、滝上、足寄、美幌の4町による「森林バイオマス吸収量活用推進協議会」と森林づくり協定を締結した。現在も森の保全活動に取り組んでいる。
Web掲載日2023年4月13日
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