宗谷本線活性化推進協議会 高校直通バス、特急利用促進など 調査・実証事業協設立へ 公共交通維持、利便性向上図る
【名寄】
宗谷本線活性化推進協議会(会長・加藤剛士名寄市長)の2023年度定期総会が、5月26日午前10時半から士別グランドホテルで開かれた。総会では、公共交通の利用実態調査や高校直通バス実証運行、特急利用促進などを行うため、新たに「宗谷本線調査・実証事業協議会」の設立に向けて準備していることを報告した。
同線のうち名寄~稚内間は「JR単独では維持困難な線区」に位置付けられ、特急列車はある程度まとまった利用がある一方、普通列車は数人しか利用していない区間もあるのが現状だ。
JR北海道に対する国からの支援は23年度が区切りとされており、23年度中に調査・実証事業を行い、総括的な検証と抜本的な改善方策を検討することで、24年度以降の支援スキームが決定されることになっている。
調査・実証事業の財源となる国や道の補助金は、関係市町村だけではなく、JR北海道や北海道運輸局による沿線協議会などが対象とされている。
一方、既存の宗谷本線活性化推進協議会は、JR北海道が構成員に含まれていないとともに、設置の目的が「完全高速化を実現させるため」となっているため、新たに「宗谷本線調査・実証事業協議会」を立ち上げることにした。
調査・実証事業の目的は、幹線交通ネットワークの札幌~稚内間の都市間輸送の維持強化により利用拡大を図るとともに、沿線地域の公共交通の維持、利便性向上を図ることとなっている。
23年度の実施予定事業は、公共交通の利用実態・意向調査で、住民に対するアンケート調査、列車と路線バスの共通時刻表の作成を行う。
高校直通バス実証運行は23年度、幌延~稚内間で実施。通学列車時間帯に合わせて行うもので、幌延、豊富町内から稚内市内の高校へバスを直通。地域公共交通の利便性向上をはじめ、鉄道とバスの組み合わせによる交通網再構築の検討、協議に向けて課題を明らかにしていく。
地域住民向けの特急利用を促進し、住民を対象に名寄~稚内間で特急料金の補助を予定している。比布駅と剣淵駅での一部特急列車の臨時停車なども計画している。
事業実施では、国の「地域公共交通再構築調査事業」、道の「JR単独維持困難線区支援事業」の補助金を利用する。費用の負担割合は国50%、道25%、JRと沿線自治体25%となっている。
「宗谷本線調査・実証事業協議会」の構成員は、沿線の自治体と商工会議所、議会、JR北海道、北海道運輸局、道(オブザーバー)。現在、同協議会への参加意向と事業内容を確認し、設立に向けて準備を進めている。
今後、国と道に補助金交付を申請。交付決定は早くて7月以降となる見込みで、その後の事業実施となる。
なお、活性化推進協議会の23年度事業計画としては、名寄~稚内間の高速化と宗谷本線の利便性向上を実現するための活動、宗谷本線の利用促進を図るための活動(観光列車運行に向けた企画、宗谷本線の多様な活用方法を検討するための講演会など)、宗谷本線の維持に向けてJR北海道や国などへの要望会を実施する。
名寄新聞2023年5月28日 掲載 Web掲載日2023年6月5日
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