【名寄市】
配送トラックに積載するクールボックス（輸送用の保冷庫）の充電に必要な電源に、再生可能エネルギー（太陽光発電）を活用する実証試験が、2日からヤマト運輸株式会社名寄営業所でスタート。官民が連携して、再生可能エネルギーの可能性を探るとともに、課題などを検証しながら、名寄市の物流拠点化やゼロカーボンの実現を推進していきたい考え。
名寄市では、地方創生推進の柱の一つとして、圏域物流の拠点化を目指して事業を展開。物流の再構築を促す機会として、物流機材で利用されているエネルギーを、再生可能エネルギーへ転換する実証実験を展開するもの。
事業主体は、官民協働で名寄の物流拠点化を推進する道北圏域ロジスティクス総合研究協議会（松下賢二会長）、北星信用金庫、ＪＡＧ国際エナジー、ヤマト運輸、名寄商工会議所、名寄市からなる「再生可能エネルギーによるマチの活力ＵＰ事業実証試験実施協議会」。
実証試験は、信金中央金庫が創立70周年記念事業の一環で、名寄市へ企業版ふるさと納税として寄付された一千万円を活用。同社名寄営業所敷地内に太陽光パネルを設置。ここで発電した電気を、冷凍・冷蔵状態を保ちながら商品を配送するために用いられているクールボックスの充電などに充てるもの。
計画当初は、8月からの運用開始を想定していたが、太陽光発電に係る半導体不足などで設置工事が遅れ、この日の開始となった。
設置された太陽光パネルは、最大発電量11・52キロワット（一般家庭の太陽光発電と比較して3軒分）で、クールボックス約21台分の充電量に相当する他、同営業所内の電力使用量の約40％を、再生可能エネルギーで補うことができるという。
同名寄営業所協力による物流機材の脱炭素化に向けた効果検証で、市は「ヤマト運輸が、旭川にある道北ベースで保有するクールボックス約400台のうち、名寄営業所は名寄以北の営業所で使用するクールボックスの中継も行うため、一部保管もしており、輸送繁忙期にも対応するため、再生可能エネルギーを活用した充電機能拡充に対応できるかについても検証していきたい」としている。
当初計画で、実証試験は来年8月までの日程で実施。市では「再生可能エネルギーの活用による二酸化炭素削減量や、冬期間を含む一年を通した太陽光発電による再生可能エネルギーの可能性を探り、今後の再生可能エネルギーへの転換における運用や課題を検証して、名寄市が掲げる物流拠点化やゼロカーボンの実現を推進していく」などとしている。
名寄新聞9月4日付掲載 Web掲載日9月12日
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