増毛まで全線開業果たす　沿線は炭鉱が開坑し、支線も開業

留萌港の修築が優先され、増毛延伸の着工は遅れたが、1921年（大正10年）11月5日、留萌～増毛間が開業し、留萌線（深川～増毛間、66.8km）が全線開業を果たした。

延伸区間には留萌、礼受、舎熊、増毛の各駅が開設された。26年（大正15年）7月1日には瀬越仮乗降場が設置された。

その後、支線も敷設され、27年（昭和2年）10月25日に留萌～大椴間が開業。28年（昭和3年）10月10日に鬼鹿まで、31年（昭和6年）8月15日には古丹別まで開業したが、31年10月10日に留萌～古丹別間が留萌線から分離され、「羽幌線」となった。同時に留萌線は「留萌本線」と改称された。

なお、羽幌線は留萌から羽幌を経て、幌延まで結んだ路線で、32年（昭和7年）9月1日に羽幌まで、41年（昭和16年）12月9日に築別まで開業した。一方、幌延からは天塩線として35年（昭和10年）4月1日に天塩まで、36年（昭和11年）10月23日に遠別まで開業した。その後、太平洋戦争の影響で工事は中断され、戦後の57年（昭和32年）11月6日に築別～初山別間、58年（昭和33年）10月18日に初山別～遠別間が開業し、天塩線と統合して羽幌線が全線開業となった。

また、31年10月10日に札沼北線の石狩沼田～新十津川間が開業。その後、34年（昭和9年）10月10日に新十津川～浦臼間が開業した。34年11月20日に札沼南線の桑園～石狩当別間、35年（昭和10年）10月3日に石狩当別～浦臼間が開業し、北線と南線を統合して札沼線の桑園～石狩沼田間が全線開業した。しかし、戦時中は不要不急線とされ、43年（昭和18年）10月1日に石狩月形～石狩追分間、44年（昭和19年）7月21日に石狩当別～石狩月形間と石狩追分～石狩沼田間が営業休止となった。戦後の46年（昭和21年）12月10日に石狩当別～浦臼間、53年（昭和28年）11月3日に浦臼～雨竜間、56年（昭和31年）11月16日に雨竜～石狩沼田間が営業再開し、全線で運行再開となった。

当時、沿線には炭鉱が相次いで開坑した。沼田町内の昭和炭鉱が30年（昭和5年）1月、浅野炭鉱が30年3月に開坑した。昭和、浅野の両炭鉱の操業開始に伴い、30年7月1日に私鉄の留萠鉄道が国鉄留萌本線の恵比島駅から分岐し、太刀別まで開業した。30年10月1日には昭和まで延伸し、石炭をメインに貨物と旅客を輸送した。

留萠鉄道は留萌港にも貨物線を敷設し、30年12月1日に南岸線、32年（昭和7年）12月1日には北岸線を開業し、留萌本線を経て石炭搬出の体制を整えたが、41年（昭和16年）10月1日、戦時輸送体制の完遂を目的として、高架桟橋や荷役設備も含めて国有化され、留萌駅構内の側線となった。

留萌市内では大和田炭鉱が00年（明治33年）から操業を開始し、経営難や出炭量減少で24年（大正13年）に閉山したが、38年（昭和13年）9月から別会社により再開した。豊平炭鉱は13年（大正2年）に開坑したが、長く続かず21年（大正10年）いったん閉山した。

また、人造石油（石炭から人工的に合成して製造）の生産が計画され、小平町達布で38年（昭和13年）から鉱区が開発された。41年12月18日に私鉄の天塩炭砿鉄道が国鉄留萌本線の留萌駅から分岐し、達布まで開業した。その後、北炭（北海道炭礦汽船株式会社）により天塩炭鉱（達布炭鉱）の操業が本格化した。

さらに、羽幌町内の羽幌炭鉱も40年（昭和15年）2月に築別坑が開坑し、41年12月14日に私鉄の羽幌炭砿鉄道が国鉄羽幌線の築別駅から分岐し、築別炭砿まで開業した。戦後の47年（昭和22年）8月に上羽幌坑、48年（昭和23年）8月には羽幌本坑（三毛別）も開坑し、留萌駅や留萌港に石炭が集まった。

石炭輸送が増え始め、30年代から60年代半ばまで留萌本線は最盛期を迎えた。

（続く）