炭鉱閉山で貨物輸送に陰り　マイカー普及などで旅客も減少

石炭をはじめとした貨物、旅客輸送で全盛期を迎えた留萌本線だったが、エネルギー転換の影響で炭鉱は合理化され、出炭量が減少し、後に閉山が相次いだ。

1959年（昭和34年）8月に留萌市内の大和田炭鉱が閉山。67年（昭和42年）4月に小平町内の天塩炭鉱（達布炭鉱）、68年（昭和43年）11月に沼田町内の浅野炭鉱、69年（昭和44年）4月に沼田町内の太刀別炭鉱と昭和炭鉱、70年（昭和45年）4月に留萌市内の豊平炭鉱、70年11月には羽幌町内の羽幌炭鉱が閉山し、ヤマの灯が消えた。

石炭輸送を担ってきた私鉄も姿を消し、天塩炭砿鉄道（留萌～達布間、25.4km）が67年7月31日、羽幌炭砿鉄道（築別～築別炭砿間、16.6km）が70年12月15日に廃止。留萠鉄道（恵比島～昭和間、17.6km）は69年5月1日に営業休止し、71年（昭和46年）4月15日で正式に廃止された。

なお、天塩炭砿鉄道はバス会社の「天塩鉄道バス」となり、現在は「てんてつバス」となっている。

また、利用客減少に伴い、札沼線（桑園～石狩沼田間、111.4km）のうち新十津川～石狩沼田間（34.9km）が72年（昭和47年）6月19日に廃止された。その後、2020年（令和2年）5月7日に北海道医療大学～新十津川間（47.6km）が廃止され（新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の影響で4月17日をもって運行休止）、現在は桑園～北海道医療大学間（28.9km）のみの営業運行となっている。

その影響で、留萌本線の貨物輸送や留萌駅の貨物取り扱いにも陰りが見え始めた。石炭の輸送は大幅に減少し、木材や水産物もトラックによる輸送に切り替わり、78年（昭和53年）10月2日に留萌～増毛間の貨物営業が廃止された。

さらに、道路整備やマイカー普及により旅客も減り始め、80年（昭和55年）10月1日に急行「ましけ」、86年（昭和61年）11月1日に急行「はぼろ」「るもい」が廃止され、速達列車は姿を消した。

貨物列車の本数が減少したこともあり、84年（昭和59年）2月1日に北一已、藤山の各駅、86年11月1日に秩父別、恵比島、幌糠、大和田の各駅の列車交換（列車すれ違い）設備が撤去された。

支線の羽幌線（留萌～幌延間、141.1km）は84年6月22日に廃止対象の第2次特定地方交通線に指定され、87年（昭和62年）3月30日に廃止、バス転換された。

87年4月1日、国鉄分割民営化され、ＪＲ北海道が発足した。

（続く）