日本海へ“夢の跡”~幻の鉄道「名羽線」 特別編 「赤字83線」が影落とす 道内は深名線など15線区 国鉄と鉄建公団で矛盾した動き
国鉄が赤字路線を廃止しようとする一方で、日本鉄道建設公団は開業後、赤字が予想される新線の建設工事を推し進めるという矛盾した動きや状態が続いた。
国鉄は、東海道新幹線建設や在来線の輸送増強(複線電化、ルート切り替え)で費用がかさみ、1964年度から赤字決算が続いた。
鉄建公団は、新線の建設促進を目的に国鉄工事局を分離し、64年3月23日に発足した。
国鉄の赤字解消のため、国鉄諮問委員会は67年10月26日、赤字ローカル線廃止の方針を打ち出した。
その動きに対し、北海道国鉄路線廃止反対期成会を立ち上げ、強力に反対運動を展開した。
名羽線全通促進期成会、美幸線敷設促進期成会などが加入する北海道鉄道新線建設期成会では、工事推進を訴えた。
国鉄諮問委員会は68年9月4日、全国の83線区、2590kmの赤字ローカル線を廃止し、バス輸送に切り替えるべき―との答申を国鉄に提出した。
「赤字83線」と呼ばれるもので、道内は深名線(深川~名寄)、美幸線(美深~仁宇布)、興浜北線(浜頓別~北見枝幸)、興浜南線(興部~雄武)、渚滑線(渚滑~北見滝ノ上)、湧網線(中湧別~網走)、相生線(美幌~北見相生)、根北線(斜里~越川)、標津線(標茶~根室標津、中標津~厚床)、白糠線(白糠~上茶路)、富内線(鵡川~日高町)、札沼線(桑園~石狩沼田)、岩内線(小沢~岩内)、瀬棚線(国縫~瀬棚)、江差線(五稜郭~江差)の15線区が廃止対象となった。
答申では「赤字ローカル線が国鉄の経営を悪化させているばかりでなく、国民経済的にも大きなマイナスとなっている」とし、赤字ローカル線の廃止によって10年間で約3千億円の負担が軽減されるとした。
一方、鉄建公団札幌支社では「美幸線など建設中の所が枝線の形になっているのは当然。現在の姿だけ見て赤字だから廃止というのは筋が通らない」と訴えた。
沿線自治体の猛反発や政治的な圧力もあり、実際に廃止されたのは11線区にとどまり、道内は根北線の全区間(70年12月1日廃止)と札沼線の新十津川~石狩沼田間(72年6月19日廃止)の2線区が廃止された。
その後も国鉄の赤字が増大することとはお構いなしに、鉄建公団は巨額な費用を投入し、新線建設工事を続行した。
しかし、79年度末で国鉄の累積赤字が6兆円、長期債務は13兆円にも上り、80年12月27日、国鉄再建法が公布された。
81年3月2日には赤字ローカル線の廃止基準を定めた政令を策定し、全国で77線区、道内では23線区が特定地方交通線として廃止対象となった。
鉄建公団の地方開発線・地方幹線(AB線)の建設予算も79年度から凍結され、名羽線や美幸線、興浜線などの工事が凍結された。
美幸線、興浜北線、興浜南線は81年9月18日、第1次特定地方交通線(営業キロ30km以下で輸送密度2千人/日未満、営業キロ50km以下で輸送密度500人/日未満)として承認され、興浜北線が85年7月1日、興浜南線が85年7月15日、美幸線は85年9月17日に廃止された。
深名線は第2次特定地方交通線(輸送密度2千人/日未満)の候補とされたが、代替輸送道路が未整備のため除外された。
だが、並行する国道275号が舗装化されるとともに、道道688号名寄遠別線の名母トンネル(幌加内町母子里~名寄市瑞穂)が91年9月30日に開通し、道路整備が完了したことや列車利用客の減少もあり、95年9月4日に廃止された。
なお「赤字83線」の道内15線区のうち、札沼線の桑園~北海道医療大学間、江差線(現在は第3セクターの道南いさりび鉄道)の五稜郭~木古内間を除いて廃止されている。
深名線の朱鞠内駅は名羽線との分岐点になる予定だった。また、広義に解釈すれば名寄~朱鞠内間は名羽線の一部とみなすこともできた。
当時は想像もできなかったが、今となっては羽幌炭砿の閉山(70年11月2日)とともに、深名線が「赤字83線」に含まれた当時から名羽線の建設促進に影を落とす序章だった。美幸線も全線開業に向けて暗雲が立ち込めたと言えよう。
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