心臓と歯科は関係があるのか？

国際的にムシ歯や歯周病は、非感染性疾患といって心筋梗塞や脳梗塞などの循環器疾患、糖尿病や腎臓病と並ぶ予防可能な生活習慣病の1つと位置付けられています。また、伊藤裕教授の提唱する「メタボリックドミノ」（図1）は、生活習慣の乱れから肥満、高血圧、高血糖となり、ひいては心不全や脳卒中、糖尿病になってしまうという概念です。その最も上流にある生活習慣のお口の健康が、こういった病気の共通のリスク要因であると言われています。

皆さんも毎日歯磨きをしていると思います。ただ、全部の歯の細かい部分まで綺麗にすることは簡単ではありません。お口の中は常にバイ菌と戦っており、その慢性的な炎症が全身にも悪影響を及ぼすとされています。

痛くないからイイや！って訳にもいかず、無症状と健康なのとは同じではないと考えていますので、自己流ではなく、歯科衛生士さんに自分のお口の中に適した正しいブラッシング方法を習うことをお勧めします。

痛い時だけ歯科医院を受診するのは、元に戻るはずだとする前提の考え方なので、治療に関する行き違いが生じやすくなります。ムシ歯を修復する治療や、入れ歯を調整するだけでなく、専門的な清掃で定期的に口腔衛生を保つことが、必要だと感じています。

お口のトラブルや老化というのは、50歳前後からあらわれてくる場合が多く、歯を失う場合が出てきます。また、お口や舌も衰えてきますので、唾液の分泌が減少したり、食べたり飲みこんだりする口腔機能も低下してきます。我々の取り組みの1つに、その衰える時期を遅らせる事はできないか？衰えるスピードが急にならないように、なだらかにゆっくりと先送りにできないだろうか？と願い、お口の体操なども説明しています。これを読んでいただいているほとんどの皆さんは、普通に食事をされているはずなので、食べられなくなるイメージなんて思い浮かびませんよね？我々は名寄市立総合病院や名寄東病院、名寄市特別養護老人ホーム清峰園や介護老人保健施設、そしてお家にも歯科訪問診療で伺います。たとえ病気じゃなかったとしても、フレイル（加齢により心身が老い衰えた状態）で食べられなくなる時が来る。