名寄市図書館協委員を32年 録音図書にも大きく尽力 工藤久美子さんに北海道図書館振興協議会表彰
【名寄】
北海道図書館振興協議会表彰の伝達式が、7日午前10時から市役所名寄庁舎で行われ、名寄市図書館協議会委員を30年以上務めた市内在住の工藤久美子さんに、岸小夜子教育長から表彰状が贈られた。
この表彰は、各自治体などで設置している図書館協議会の委員を10年以上務めた人を対象に行っているもの。
表彰を受けた工藤さんは、1990年9月から2022年3月までの32年間、名寄市図書館協議会委員を務め、市内の図書環境充実や読書の普及活動などに尽力した。
この中でも特に、図書館ボランティア「名寄声の図書会」としての活動功績は顕著だ。同会は、視覚障がいのある人たちも読書を楽しむことを目的に、年間300人以上の利用者に対して約1000件のタイトル(録音テープに換算すると9000巻の貸し出し)を提供しており、工藤さんは中心的存在として録音図書の作製や貸し出し業務に従事した。
さらに、16年には録音図書ダウンロードサービス「サピエ」の事業開始にも尽力し、市内の障がい者サービスの充実にも大きく貢献した。
伝達式では、表彰状を手渡した岸教育長が「32年の長きにわたる図書運営に対する尽力や、障がいなどに関係なく誰もが読書に親しむことができる環境づくりに大きく貢献していただき、感謝している。引き続き名寄の図書活動を応援してほしい」と表彰を喜んだ。
工藤さんは「ただただ本が好きで、委員を長く務めただけ。表彰を重く受け止めている」。32年間の活動で「『プラハの春』の長編を40時間以上かけて録音したことがあり、録音から4、5日後、利用者から『長い時間をかけて録音していただいたのに、3日間で聞いてしまい申し訳ありません』と言われたことがあった。自分にとってはうれしいことで感謝しかなった。また、その利用者が『こんなに本を読むことができるようになったのは目が悪くなったから』と話していたことも印象に残っており、本は趣味的なものだけではなく、すごく力があるものと感じた」と振り返った。
昨年3月に委員は退任したが、録音のボランティア活動は続けており、「法律が改正され、視覚障がい者以外で活字を読むことが困難な人も録音図書を利用できるようになった。これを機に、録音図書の存在を多くの人に知っていただき、読書の面白さを伝えていきたい」と話している。
名寄新聞2023年6月8日 掲載 Web掲載日2023年6月12日
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