「ちいさいおうち」 バージニア・リー・バートン 著
好きな絵本は何ですか―とたずねられたら「ちいさいおうち」と答えています。
本書は、北国に住む私たちにも馴染み深い田園風景の中にある「ちいさいおうち」が、時代の変化に巻き込まれて居場所と自己を見失う物語です。悲劇に思えますが、そのおうちを追いつめるものとは、私たちが手放せなくなった「便利」なのです。
この際書いてしまいますが、このおうちは物語の終盤において、人の記憶にふれて再生します。子どもの頃でしたらよかったね―でページを閉じてもいいのですが、大人になっては思うところが違います。発見されて大切にされるくだりにふれて、自分の価値は自分ではわからないものなのだなあと思います。
そして、幸福な記憶というものを人はつないでいくのだなあと思います。幸福な記憶とは、満ちたりた日常のことです。それを今は失ったとしても、憧れる気持ちがあればきっと大丈夫だと本書は教えてくれるのでした。
もちろんビジュアルとしても、本書には絵を読む楽しみと、絵本ならではの時間表現にあふれています。さらに注目していただきたいのは表紙の次の見返しです。物語を見通せる見返しの、なんと楽しく美しいことでしょう。
考えてみればネタバレなのですが、絵本はくりかえし読んで楽しめるものです。私は見るにつけ、ああ、またこの物語が始まるのだなあとわくわくします。本であることの喜びに満ちている一冊です。
岩波書店、1870円、1965年発刊。
(堀川真・名寄市立大学教授、絵本作家)
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