これまで10回(番外編含む)にわたって連載してきたが、本編の裏付けとなるような資料を入手したので、特別編として紹介したい。
美幸線の美深~仁宇布間存続と北見枝幸までの全線開業を目指して、第3セクター化を検討したものの、収益が見込めず断念したことは本編で触れてきたが、それについて掘り下げる。
国鉄の膨大な負債が問題となっていた中、運輸省は日本鉄道建設公団に対し、1979年度(昭和54年度)のAB線(地方開発線・地方幹線)建設予算を凍結した。
「日本鉄道建設公団三十年史」によると、予算凍結を受けて、鉄建公団は79年7月、建設中の「ローカル線」に当たる全国のAB線41路線を全線開業後の推定輸送密度と79年時点の着工率を基準として4グループに分け、予算配分を行ったことで凍結が解除された路線もあった。
A線の美幸線は「開業後の推定輸送密度が1千人未満であって、着工率が90%以上の路線」の第3グループに位置付けられた。当時、美幸線は着工率100%、推定輸送密度は300人と見込まれていた。
第3グループの取り扱いとしては「関係地方公共団体から、第3セクター等への委譲について具体的な意思表示のあった路線は、工事を継続する」とされ、一応、予算配分の対象にはなっていた。
しかし、79年8月29日付の「名寄新聞」によると、美幸線の79年度当初予算は10億円が計上されていたが「条件が満たされるまでは…」と運輸省が予算凍結を決め込み、工事はストップしていた。当時、運輸省や国鉄では国鉄再建の具体策として赤字ローカル線の切り捨てを打ち出していた。
その条件とは「国鉄の赤字再建に鑑み、地方の赤字ローカル線は出来上がった後の管理運営を第3セクターに転換するか、あるいは赤字が出た場合、道や関係市町村など自治体がこれを保証するという証が欲しい。これがはっきりするまで、予算の凍結は続ける」ということだった。
これに対し、当時の美深町長・長谷部秀見は「不特定多数の人が利用する国鉄になぜ自治体が金を出さねばならないのか。国鉄は地域開発の基礎となるべきもの。その公共性からみて、当然国が負担すべきだ。自治省でさえ、乏しい地方財政からの負担には反対している。断じて承服できない」と反発した。
結局、工事は再開されることなく、翌80年度の当初予算はゼロとなり、80年12月27日の「国鉄再建法」施行によって仁宇布~北見枝幸間の工事は凍結された。
美幸線敷設促進期成会(会長・西尾六七=道議会議員)も当初、3セク化は考えていなかったが、北見枝幸までの全線開業を目指すため、82年(昭和57年)4月、3セクによる運営の検討を打ち出した。
84年(昭和59年)9月、3セク会社設立に向け、北海道に出資を求めたが、経費や収支の試算によると採算が合わず、出資は見送られたため、3セク化を断念。85年9月17日、一部開業区間が廃止された。
ただ、開業後の採算性は別として、予算凍結解除や工事再開の可能性が多少なりともあったことは事実といえる。
なお、第1グループは「開業後の推定輸送密度が4千人以上の路線」で「建設継続」。第2グループは「同1千人以上4千人未満であって、着工率が50%以上の路線」で「関係地方公共団体から地方交通線対策に対して協力する旨、意思表示があった路線は工事を継続する」という取り扱いとされ、道内のAB線は該当しなかった。
第4グループは、第1~第3グループ以外の路線で、当初は工事継続に必要な最低限の予算を配分するとしたが、後に予算ゼロの「建設凍結」とされた。道内はA線で着工された名羽線(朱鞠内~羽幌間、推定輸送密度200人、着工率51%)、興浜線(雄武~北見枝幸間、600人、51%)、工事休止中の芦別線(芦別~納内間)、白糠線(北進~足寄間)、未着工の岩内線(岩内~黒松内間)、北十勝線(新得~足寄間)だった。
美幸線を含め、どの路線も沿線人口が離農などで少なくなっていたことや、名羽線や芦別線、白糠線は沿線炭鉱の閉山もあり、旅客や貨物の輸送量は伸びず、仮に開業していたとしても営業実績は芳しくなかったと思われ、未成に終わったのである。
(敬称略)
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