夢破れた全線開業~旧国鉄美幸線の軌跡 特別編 期待と落胆(前編) 交通弱者の足や産業振興 早期全線開業を祈願したが…
美深、歌登、枝幸町民や関係団体にとって、美幸線の全線開業への期待は大きかったもので、仁宇布~北見枝幸間の工事凍結(1979年以降)、美深~仁宇布間の廃止(85年9月17日)には落胆が大きかった。
大まかに沿革を振り返ると、美深~仁宇布間は57年(昭和32年)7月4日に着工、64年10月5日に開業した。
仁宇布~北見枝幸間については、まず65年10月21日に志美宇丹~北見枝幸間の工事実施計画が認可され、同月30日に歌登町パンケナイ付近から着工、68年12月までに北見枝幸~歌登間の路盤が完成。68年6月から歌登~志美宇丹間の工事もスタートし、70年12月までに路盤が完成した。
70年11月27日に仁宇布~志美宇丹間の工事実施計画が認可され、12月7日に志美宇丹側から着工、73年5月16日には仁宇布側からも工事に着手し、78年12月までに仁宇布~北見枝幸間の路盤やトンネル、橋りょうが全て完成。その後はレール敷設や駅舎建設などが残されていた。
美幸線建設ルートと重なるため、日本鉄道建設公団から歌登町営軌道志美宇丹線のレール撤去を求められ、同線は68年12月20日で運行終了、69年5月31日に廃止された。
歌登町史には、着工から工事凍結、廃止までの経緯が詳しく記されており、第1巻(80年発刊)によると、全線開業により「枝幸、歌登町内の水産、林産、農産はすべて新線(美幸線)を利用することになり、距離的(北見枝幸~美深間)には新線は44km短縮され(興浜北線、天北線経由との比較)、天北線利用より1時間も早くなるなど、メリットが多いという」。
枝幸町史下巻(71年発刊)には「こうして町内の路盤工事はほぼ完了し、線路の敷設を待って、枝幸~志美宇丹間の鉄道開通は間近に迫った。 さらに近い将来、志美宇丹~仁宇布間が建設され、美幸線が全通の時には興浜線と接続して、かつては陸上交通の袋小路におかれていた枝幸町も新しい局面を迎えることであろう」とある。

森口誠之さん著「鉄道未成線を歩く 国鉄編」(2002年発刊)によると、1970年度に北見枝幸~志美宇丹間の部分開業との話もあったが「早期全線開通を求めるには部分開業しないで全通の日を待つべき」との意見に押され、見送られたことが記されている。
当時は76年までに路盤完成、77年の全線開業を目指していた。84年10月2日付の名寄新聞の企画記事「瀬戸際の美幸線」では「歌登町の声」と題して紹介された。
歌登町役場の企画財政課長は「全線開通のメリットとして旭川・名寄圏との接続がスムーズになり、医療機関への通院の足が確保される」「うちの町民は、産婦人科はみんな名寄市立総合病院へ行く。稚内より名寄や旭川の総合病院へ通院する人が多い。特に冬期間は咲来峠(音威子府村・歌登町境界)が雪で通行止めとなることもある。全線開通は交通弱者の足確保に大きく役立つ」。
歌登町農協の参事は「町内の産業振興の見地から美幸線が開通してもらわなくては困る。鉄道ができれば、うたのぼり健康回復村(現在は温泉ホテル、ゴルフ場、キャンプ場などが立地)の利用増にもつながる。医療の問題も大きい」。
歌登町商工会の事務局長は「もちろん赤字の不安はあるが、それに倍してマチや商店の活性化が図られると思う。なんとしても全線がつながらないことには」と早期の全線開業を祈願していた。
だが、新線が全国各地で建設され、工事予算が広く薄く配分されていたこと、国鉄が輸送増強費用(複線電化、ルート切り替えなど)や赤字ローカル線で膨大な負債を抱えていたこともあり、歌登町史第1巻には「鉄道建設工事は順調には進まなかった。昭和52年(1977年)の開業予定は53年に延び、55年に変わり、次第にメドがつかなくなった。昭和53年度末現在、改訂された総工事費172億円のうち120億円を消化して、歌登駅予定地には既にレールも枕木もうず高く堆積されているのだが」とあり、全線開業に暗雲が立ち込めるようになった。
(続く)

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