市立稚内病院循環器内科常勤医　田代医師着任から半年 管外搬送6割減 患者の負担軽減に尽力

市立稚内病院の循環器内科常勤医師として今年4月から勤務している田代直彦医師（47）。外来診療や急患対応などに毎日当たっている。同病院によると、心臓疾患などによる名寄市立総合病院などへの管外搬送は、過去2年間を比較すると今年は6割減。患者や医療スタッフの負担軽減に繋がっている。

同病院での循環器内科常勤医は2011年を最後に、11年ぶりに着任。田代医師は1月1日付採用で、3月まで名寄市立総合病院でトレーニングを行い、春から稚内で勤務。この際、稚内から名寄に搬送される患者の割合も多く、田代医師は地域医療の深刻な課題を実感。「稚内では地域医療に貢献したい一心で来ました。循環器内科に常勤医がいることを多くの市民に知って頂きたい」と意欲。

現場勤務から半年以上が経過。救急搬送される市民の多くが急性心筋梗塞や不整脈の症状。高齢化の進行、食生活などの様々な要因がある。田代医師は「食事の塩分制限や体重管理の大切さなど、症状について理解してもらえるよう努めていく」と話す。 外来診療は名寄や札幌からの出張医を中心に、田代医師は日中や夜間の急患対応に比重を置く。最近は豊富町や猿払村からの急患を受入れることが増え、近隣町村の患者や医療機関の負担軽減にも貢献している。

稚内病院庶務課によると、過去2年間（4～10月）の心臓疾患等による管外搬送は、出張医が対応していた2020年が38件、21年が34件だったが、田代医師が勤務してからは13件に止まっている。陸路で最北・稚内と、循環器内科がある最寄りの名寄まで約２時間半かかっていたことから、田代医師の着任で救命率の向上などを含め、多くの市民の安心な生活に繋がっている。

（梅津眞二）