ノーマライゼーションとしてのブレイクダンスブレイクダンス 第3話
2012年より中学校の体育授業にストリートダンスが学習指導要綱に必修科目として組み込まれて以降、ブレイクダンスも含まれるストリートダンスは教育的な側面でも注目されることとなり、より大衆的な文化へと昇華したと言える。ダンススクールも今や各地にあり、習い事として一般的なものとなっている。中学校の学習指導要綱での必修化、パリ五輪の追加種目に採択されるなど、教育・スポーツの面で注目されているブレイクダンスであるが、今回は「福祉的」な面に着目してみる。
社会福祉の理念で一般的なものとして「ノーマライゼーション」という考えがある。すべての人が障がいの有無、年齢、性別の障壁のない社会生活を目指すという考えである。筆者は福祉系大学を卒業しており、在学中に社会福祉の学びとブレイクダンスに励んでいたのだが、ブレイクダンスこそ「ノーマライゼーション」を実現した唯一のスポーツであると感じている。
どのスポーツにおいてもある程度の壁が存在している。例えば、バスケットボールは足の不自由な方は車いすバスケットボールの競技者として、健常者と明確な区別がされている。
また、多くのスポーツにおいて身長や体重など階級的な障壁が多く存在している。多くの競技では技術面を除けば身長が高い競技者が有利になる傾向にあり、男女混合で競技を行う場合は女性が大きく不利になってしまうことが多い。スポーツというものはすべての人が楽しめるものであり、楽しむためにはどうしてもある程度の障壁を受け入れるのは仕方のないことなのだ。
しかし、ブレイクダンスは多くのスポーツとは違い、障がいの有無や年齢、性別による制約がなく、障壁をあまり感じない競技であることはあまり知られていない。前回も述べたが、ブレイクダンスの多くの大会において、すべての参加者が同じ土俵で競い合うスポーツである。小中学生が優勝することもあれば、女性が優勝することもあるというのがブレイクダンスの大会だ。世界的なタイトルを多く獲得しているフランスの世界的ブレイクダンサー・Junior 氏は義足で踊っており、日本の天野義廣氏は70代でありながらブレイクダンスのイベントに多く出場しており注目を集めている。イギリスの女性ブレイクダンサーTerra 氏は2013年当時、6歳という年齢で高難易度の技を習得し、多くの大会で活躍していた。
例を挙げるときりがないのだが、このように様々な人が何の障壁もなく同じ土俵で戦うことができる競技がブレイクダンスであり、ノーマライゼーションを実現しているスポーツといえる。これは自由度の高いストリートカルチャーとして誕生したブレイクダンスならではの特性であろう。
近年は五輪競技化に伴い、公式な大会においては年齢と性別で分けて競技が行われたりもされているが、未だに多くの大会やイベントにおいては従来の通りノーマライゼーション的な手法で競技が行われている。五輪競技化はブレイクダンスシーンにおいて多大な影響を及ぼしているが、従来の大会も文化として大切に守っていくべきである。ブレイクダンスがもつ魅力を損なわないように、アンダーグラウンドの大会やイベントにも向き合うべきだと筆者は考えている。
ブレイクダンスインストラクター 佐橋 朋幸
名寄新聞2023年1月27日 掲載 Web掲載日2023年1月30日
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