「木の酒」造りへの挑戦 〜日本最北のビール工場から~ 第5話
醸造酒「蒸留酒」について
こんにちは。前回までは、様々な原料をアルコール発酵させて作る醸造酒についてお話ししてきましたが、今回はその醸造酒に「蒸留」という工程を加えて作る「蒸留酒」についてお話ししていきます。
世界中の蒸留酒の名前をざっと見てみると、焼酎、泡盛、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ラム、ジン、テキーラ、メスカル、オー・ド・ヴィー、グラッパなどなど…、一口に蒸留酒と言っても様々な種類があることがわかります。原料や製造方法の違いで名称が分かれ、味わいも千差万別です。
まずこの蒸留という言葉、理科の授業で聞いた記憶のある方もいらっしゃるでしょうか。混合物を蒸発させて、後で再び凝集させることで、沸点の異なる成分を分離・濃縮させる技術です。例えば、フラスコの中の液体を沸騰させて、蒸発した気体が別のフラスコに落ちるように冷やすことで、液体に戻しながら元の液体と分離させる、そんなイメージです。これによって蒸発しにくい物質は最初のフラスコに残り、蒸発しやすい物質は別のフラスコに移る。用語を詳細に見ると違う部分もあるかもしれませんが、イメージとしてはこの通りです。そして、この蒸留の技術を使って醸造酒を蒸留することで、蒸留酒が生まれます。
私が初めて蒸留酒を飲んでおいしいと思ったのはスコッチウイスキーでした。酒屋で働くならちゃんとお客さんにも勧められなければならないし、興味もありました。給料の何割かを使ってお店に並ぶウイスキーから気になる物を買い、家に帰って水で割ったりお湯で割ったりしながら飲み比べ、バーに行ってはオススメの飲み方を聞いて出してもらい、そうやっているうちに「どれもこれもうまい」という結論に至りました。
度数の高さからくる刺激に驚きながらも、口に含んだ時の香りの豊かさ、それがフルーツのようなのか煙臭いのか、はたまた消毒液のような匂いなのか。子供の頃「君の前歯の間には太めの神経が通っている。これを切らないと将来君は必ずすきっ歯になる。来週来なさい、神経を切りましょう。」と歯医者さんに言われ、それ以来一度も行かなかった私でも、ウイスキーから香る消毒液の香りはどことなく心地よいものでした(なお、前歯は綺麗ともすきっ歯ともいえない、絶妙な距離を保ち続けています)。
ウイスキーといえば日本のウイスキーも有名ですね。作り方はスコッチウイスキーを手本にしていますが、より柔らかな味わいなのが特徴です。
酒屋で「ピザに合うお酒」というテーマで試飲イベントを行ったことがありました。日本酒やビール、ウイスキーなど色々試したのですが、個人的に一番合うなと思ったのは、ジンのお湯割りでした。ジンはすっきりした味わいに作られた蒸留酒に様々なボタニカル(薬草やフルーツなど)の香りをつけて作るお酒です。ウイスキーは製造後、樽で何年も寝かすことで味わいに重さが出てくるのですが、ジンは基本的にとてもスッキリとした味わいで、その分フレッシュな香りが特徴です。
ピザを食べながら飲み物を合わせると考えたときに、宅配ピザのドリンクメニューでいつも頼んでいたコーラが思い浮かんだのですが、味の濃いピザにコーラを合わせると、炭酸感で口の中の油っぽさが緩和されるのはいいけど、甘さがちょっとしつこいなと思っていました。出来上がったピザにかけるものといえばバジルなど香りのいい植物で、つまりピザに足すなら香りだろう、そしてピザのうまさのメインになる熱々のチーズを体の中で急激に冷やすと胃が重たくなってしまうから、あったかい飲み物ならどうだろう、口の中がベタつくからそれを流してくれる効果のありそうな刺激性があったらなお良い…そうやって辿りついたのがジンのお湯割でした。ジン1:2~3お湯の割合で割ったものをお客さんに飲んでもらうと、お酒好きな方でも「ジンをお湯で割ったことはないけど、結構いいね」と言っていただき、なかなか好評でした。その時に使ったのは株式会社サクラオブルワリーアンドディスティラリーが作る「桜尾ジン ORIGINAL」で、お値段もクラフトジンの中ではお手頃で、華やかでまとまりのいい香りがとても好感が持てました。
いかがでしたでしょうか。まだまだ紹介できなかった蒸留酒がたくさんありますので、次回ももう少し蒸留酒の話を続けたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
(株式会社美深白樺ブルワリー・名寄新聞社通信員・野崎知真) 株式会社 美深白樺ブルワリー 関連記事はこちら
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