「木の酒」造りへの挑戦 〜日本最北のビール工場から~ 第1話
美深のビール工場から新たな酒の地平へ
この地球で、初めてお酒を飲んだのは誰でしょうか?
地球上に起こった多くの文化において、お酒の存在は認知され、重要な物とされてきました。聖書ではイエスが水をぶどう酒に変えるという奇跡を起こし、古事記や日本書紀でも神々に酒を奉納する描写が見られます。現代においても、正月には御神酒を呑んで新年の門出を祝い、クリスマスにはシャンパンを開けるご家庭もあるでしょう。 外仕事を終えた後のビールが一番!という方もいれば、静かな夜、本を片手にウイスキーを愉しむのが至福の時、そんな方もいらっしゃるかもしれません。
私の最初の疑問、「初めてお酒を飲んだのは誰か?」それはタイムマシーンでもない限り、本当には知ることのできない疑問です。けれども、その飲酒体験を喜んだからこそ、お酒という飲み物は文化になり、これまで続いてきたのだろうと思います。では、その最初のお酒は誰が作ったのでしょう?これまたタイムマシーンが必要な問いですが、何かを作るとき、知らないものを目標にすることは難しく、おそらく最初の酒は、偶然、この地球に現れ、人はそれを発見したにすぎなかったのではないかと思います。 お酒は、微生物が糖分をアルコールと二酸化炭素に変換することで作られます。人類による管理がなくても、微生物は生活していて、偶然の重なりによって酒が作られることは十分に考えられることではないかと思うのです。
例えば、蜂の巣から蜂蜜が垂れて木のウロに溜まり、雨が降って希釈され、そこに微生物が働けばアルコールは生成されます。それをたまたま誰かが舐める、すると、これまでにない不思議な味がする…これがお酒の始まりである、と断言することはできませんが、あり得る可能性の一つではないかな、と思っています。
そして今、人類が紡いできたお酒の歴史に、新たな一ページが加わろうとしています。それは、穀物でも、果実でもなく、木材そのものを原料としてお酒を作る、というプロジェクトです。もし仮に、先ほどのような過程でお酒ができたのだとしたら、木のウロに酒を発見した人類が、ついに、木そのものをお酒にして飲む時が来た…というとロマンチック過ぎるでしょうか?
わたしはその「木の酒」を作りたいと思い、活動しています。しかしまずは、その「木の酒」へたどり着く前に、人類がどんなお酒を作ってきたのかを簡単におさらいすることで、その飽くなき酒造りへの情熱と、酒飲みたちの想いを体感してから、新たな酒の地平へと筆を(キーボードを)進めていけたらと思います。
これからの連載では、醸造酒を三種類(日本酒、ワイン、ビール)、そして醸造酒を蒸留して精製される蒸留酒についても触れたいと思います。それぞれのお酒について辞書的に調べようとすれば様々な情報がインターネット上にもありますし、先人の方々の書籍などもありますから、この連載では私の好きなお酒を中心に、実際の体験を交えて紹介していきたいと思っています。
お酒の楽しみ方は多種多様です。飲むこと、嗅ぐこと、液体の不思議な色合いを眺めること、お酒にまつわる歴史、その周りに発生する様々なコミュニケーション…。そのどれもが愉快な思い出を私に残してくれました。そんな時間を文章にして読んでいただくことで、新たなお酒について皆さんにご興味を持っていただくきっかけになればいいなと思っています。 それでは、どうぞよろしくお願い致します。
(本研究開発は、生研支援センターのイノベーション創出強化研究推進事業「木の酒の社会実装に向けた製造プロセスの開発と山村地域での事業条件の検討」による成果です)
(株式会社美深白樺ブルワリー・名寄新聞社通信員・野崎知真) 株式会社 美深白樺ブルワリー 関連記事はこちら
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