「江戸川乱歩短編集」
千葉 俊二 編(岩波文庫 2008年初版)
ミステリーそして探偵小説といわれるような謎や推理、事件を題材とした小説の登場は日本の小説史のなかでも最近のことだ。この一大ジャンルを築き上げた作家の1人が江戸川乱歩である。 王道的なミステリー「少年探偵団」シリーズは今でも広く読み継がれていると思うが、今回紹介するのは王道ミステリーとはひと味違う短編集である。 そこには事件はない。いや、すでに起こっていることもある。しかしその謎が解かれる以上に重大なことは犯罪、もしくは何かに「魅入られてしまった」人物たちの心のありさまである。 大家老女の金に目を付けた学生レンズに魅入られた青年、絵の中の女に恋をした男…。心の奥底から湧き上がる奇妙な執着は恐ろしくもありながらどこか惹きつけられるものがあり、案外私たちの心にも宿っているものかもしれない。 「深淵を覗いているとき、深淵もまたこちらを覗いているのだ(ニーチェ)」というのはまさにこのことかもしれない。 この夏の夜に、乱歩の小説から心の奥底の森を歩いてみるのも乙だろう。くれぐれも帰り道をお忘れなく。
書き手:上村 麻里恵

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