日本最北のビール工場から~美深白樺ブルワリー 最終話
ブルワリーのこれから
こんにちは。連載最終回となる今回は、ビールから少し離れた個人的な事柄から話を始めさせていただきたいと思います。
私は酒造りについて専門的な勉強をすることなく、この業界に入らせてもらい、働きながら基礎を学んでいる最中です。
サッカー選手を目指していたため、高校もサッカー専門の学校に入り、通信教育のカリキュラムをなんとかこなしながらボールを追う日々。基礎科目などの学力はほとんど中学時点で止まっています。高校卒業から少しして自分なりにサッカーへの想いに区切りがつき、地元の酒屋に就職。素晴らしい人たちに囲まれたありがたい環境でしたが、他の仕事を経験してみたい気持ちが抑えられず、2年ほどで退職し、たまたま出会った植木屋の方に拾ってもらって1年半ほど勤めました。仕事も楽しく、学ぶことも多かったので、続けさせてもらえる間は働きたいと思っていましたが、会社の事情で退職することになり、今に至ります。
当時植木屋として働いていた地域が寺院の多い地区だったため、庭の管理のためお寺さんへお伺いすることもありました。そこには長い年月をその場所で過ごしてきた建築や、大きく育った枝ぶりのいい松、穏やかな空気を纏う墓地があり、長い時間を佇んでいるうちにその場所に自然に備わった何かが、そこかしこに歴然と現れているのを感じました。
美深白樺ブルワリーの建物は、築90年のレンガ倉庫を改修して作られました。美深町は馬鈴薯でんぷんの集積地として栄えた土地で、その倉庫として長年使われていたものを新たな産業のために再利用しています。来訪される方とお話ししていると、このレンガ倉庫について聞かれる方が多いのも、長くこの土地に存在してきたその佇まいに目を引かれるところがあるからではないかなと思います。
話は飛びますが、Youtubeで2人の音楽家の対談を見ていた時のことです。トラディショナルなラップから他ジャンルとのコラボで新たな領域へと自分の音楽を進めているKID FRESINOと、旧的なものに捉われない歌詞と音楽を開拓している折坂悠太。2人の話は互いが他ジャンルの音楽とのコラボに踏み出した時のことに及び、異種の音楽を取り入れることを「生き残るすべをみんな探している」という話題として話した後、KID FRESINOの口から「最近、キャリアがすごくモノを言うんじゃないかと思っていて」と言う言葉が出た、その言葉がずっと頭に残っています。
キャリアを重ねると言う意味ではこのブルワリーはまだまだ新しいブルワリーで、生き残っていくための様々な試練にこれからもぶつかっていかなくてはなりません。この会社に入ってから、「続けることだ」と高橋社長がつぶやくのを何度も聞いています。この土地でやることの価値は「続けること」。続けるためには生き残るすべを見つけていかなくてはなりません。今は移住者の多い弊社ですが、続けていった先で、美深生まれの人がここで働くようなことも起きるだろうか?そんなこともぼんやりと思い描きつつ、目の前の課題に取り組みながら、キャリアを重ねていきたいと思います。
私自身、このブルワリーで働き出してまだ日も浅いですが、道内の他のブルワーの皆さんとの関わりや、実際にビールを飲んでくださる方の笑顔を見ると、ありがたいなぁという気持ちが湧いてきます。
今日も美深ではビールが造られています。よろしければ一度、美深に足を運んで頂ければうれしいです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。それでは、また
(株式会社美深白樺ブルワリー・名寄新聞社通信員・野崎知真) 株式会社 美深白樺ブルワリー 関連記事はこちら
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