「時計じかけのオレンジ」
アントニイ・バージェス 著 乾 信一郎 訳(1971年、完全版2008年)
意味不明な言葉の羅列、支離滅裂な言動は時として見ているものに酩酊に似た快感を与える。それがアブノーマルなこと、道徳に抵触していることでもだ。 『時計じかけのオレンジ』はまさしくそんな作品だ。
アントニイ・バージェス原作のこの作品だが、スタンリー・キューブリックの映画で知っているという方もいるだろう。近未来のロンドン、不良少年アレックスは夜な夜な仲間たちと共に老人や女性に暴力行為を働いていた。ある日仲間との諍いもあり、老婆を暴行した罪で彼一人が警察に捕まる。
刑務所に入ったアレックスは刑期短縮の代わりに更生治療の一種「ルドヴィコ治療」の被験者になる。治験内容は投薬、そして拘束された(目を閉じることさえ許されない)状態で暴力的な映像を鑑賞し続けるというものだった。その影響でアレックスは暴力に生理的に拒絶感を覚えるようになってしまう…。こうして見ると不良少年に然るべき「罰」を与えているようだが、この作品における「更生」や「手助け」には歪みがあるということは読んでみると一目瞭然だ。更生という正しさが暴走した有り様を見ていると、今日の過ちを犯した人に過剰な制裁を加えようとする昨今の社会が重なってくる。
「私は健全か?」、「制裁を下す立場にある人間か?」この作品は自分を見つめる鏡にもなるだろう。この作品には出版当時には削除されていた最終章のついた完全版も出ている。映画、小説版、完全版と比べてみると新たな発見があるかもしれない。
書き手 上村麻里恵
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