2023年の下川町長選 心身・社会の良好なまち目指す 次期下川町長 田村泰司氏
【下川】
元町政策推進課長の田村泰司氏（58）が、町長選に初出馬で無投票当選。5月1日から町長に就任する。今月24日午前11時から当選証書を付与され、同日午後４時から合同記者会見に応じた。「当選のうれしさよりも重責を感じている。証書を受け取り、さらに身が引き締まった」と語る。
田村氏は無投票当選に「町内の多くの世帯、事業所を回ったが、前回の選挙のような、町を二分する選挙はない方が良いとの声をいただいた。無投票当選になったことは、私に対する大きな期待の表れと捉え、応えられるよう、全力を傾注して町政のかじ取りをしなければならない」。
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同日に町長、副町長から引き継ぎも受けたが「12月まで内部で働いていたが、あらためて課題の多さを実感し、その解決へ決意を新たにした。施設の老朽化や更新など財政問題が大変な課題。町民の理解を得ながら、公共施設の整理統合・再編でなるべく早く方針を示し、検討を進める必要がある」と言う。
早急に取り組むことに「住民サービスの向上のため、職場環境をより良く改善し、職員のやる気・能力を最大限発揮できるようにすることが重要。役場の組織改革を進める。課の再編、グループ制から係制、室、特定プロジェクト制への変更などを行い、効率的な業務体制を整えたい。できるだけ早く副町長人事を進め、内部で議論し、7月の人事異動につなげたい」。
町の長年の課題でもあり、町の分断にも影響した「合意形成の在り方」に「町民の和を大切に、環（わ）のまちづくりを進めたい。多様な価値観、考えがある中、違いを認め合い課題を解決していくために、話し合いと連携が必要。特に大きな事業では、互いが納得できるところまで、時間をかけて議論することが重要。そのための会議の設置に加え、私や職員が住民の中に出向いて話を聞くなど、できる限り町民の声を聞く姿勢をもって、政策を進めたい」。
また対外的なことを重視する傾向が、分断の要因にもなったとし「対外的なことに偏ることなく、町に住む人を大切に、一歩ずつ着実にやっていきたい」とする一方、外部とのつながりも大切にし、関係人口増加を図る考えを示し「下川の母村・旧高鷲村がある岐阜県郡上市など連携地域との経済交流・人的交流を深めたい」。
町が推進するSDGs（持続可能な開発目標）やゼロカーボン（脱炭素）への考えで「地域課題の解決や活性化のための手段であり、町政運営の目標ではない。考え方を取り入れて、ものさし、ツールとして活用する。補助金活用などにも有効と考える。ポストSDGsとして、心身・社会などあらゆる面で良好な状態『ウェルビーイング』のまちづくりを目指す」。
少子高齢化・人口減少対策と持続可能なまちづくりで「基幹産業の農林業振興と住宅、子育て、高齢者福祉の定住策が不可欠。近年移住促進に実績があるにも関わらず、人口減少が加速している。総合的な定住策が進んでいなかったためと分析している」と話し、町民と対話しながら、政策の見直し、充実を図る考えを示す。
持続可能なまちづくりの一つとして「エネルギーや食など、地域で使うものを地域でつくる『地消地産』による域内の循環経済を推進する」と述べ、域内循環の仕組みの在り方を聞かれると「買い物ポイントカード（しもりんポイントカード）など既存のものをつなげ、生かせないか考えたい」と語る。
具体的な政策予算に「総合計画の見直し状況、財源確保など各担当課から事情を聴取して早急に判断し、6月補正予算案に計上したい」と話す。重責に身を引き締める
